〈音痴の子はいない〉
小学生になると、自分は音痴だから歌は歌いたくないとう子どもが出てきます。
あるいは、親御さんが、うちの子は音痴だから、という場合も。幼稚園の頃は、気にせずに大きな声で歌っていても、小学生ともなると、友だちのことも気になったり、自信を失ってしまったり、辛い思いをしてしまっては、かわいそうです。でも、実はこれ、音痴という思いこみでしかありません。
例えば、難聴や扁桃腺、脳の機能障害やその他の疾患など、治療が必要な場合を除いて、本来、音痴の人はいません。大人になると、長い間の習慣もあり、治すのには多少、時間がかかってしまう場合があるかもしれませんが、子どものうちなら割と短期間で治すことができます。
小さいうちから、親御さんにいろいろな歌を聞かせてもらったり、一緒に歌ったり、楽しみながら、音や言葉に対する感性を育てていきましょう。幼稚園くらいになって上手く歌えなくても、リズムや、音の高低、喉のコントロールなど、成長に合った適切な支援を受けることによって、全ての子どもは、正しい音やリズムで歌えるようになります。
〈音楽は自然の中に存在するもの〉
最近は、電気で音を作り出す楽器がたくさん使われています。でも、もともとは、音楽は自然の中で生まれたものです。海の波や、木々をゆする風も、猫が跳ねるのも、鳥の羽ばたきも、私たちの言葉や呼吸も、くしゃみも、全て音楽とリンクしています。自分の感覚を研ぎ澄まし、身体を動かし、自然の息遣いを感じることで、子どもたちは音楽の素晴らしさを感じ取ることができるでしょう。
まず、感じて、そして、知性へと繋げていけばよいのです。感覚的成長が著しい幼児期だからこそ、ぜひ、リトミックを体験してほしいのです。
〈リトミックの最終的な目標〉
リトミックの音楽的な最終目標は、作曲することです。幼いころからリトミック教育を受けた子どもたちの中には、小学校に入学するころになると、自分が作曲した作品を持ってくる子が出てきます。その子たちのほとんどは、リトミックと並行して、ある時期からピアノや、その他の楽器を習い始めた子どもたちです。リトミックで音楽的な能力や感性、表現力を身に付けた子どもたちが、楽器という新しい表現の手段を手に入れたのです。
リトミックのカリキュラムの中には、即興演奏があります。即興演奏といっても、初めは、自分が考えたリズムパターンを手でたたいたり、太鼓でたたいたりすることから始まります。やがて、その、叩くものが木琴になったり、太鼓が二つになったり、子どもの成長に合わせてバージョンアップしていきます。リズムにメロディーが加わり、ハーモニーが加わり、それぞれの子どもたちの想像力や創造力が加わり、中には、小学校2,3年生で大人顔負けのピアノ曲を作曲してしまう子もいます。
ご両親が、音楽家だとか、特別な英才教育を受けているというわけでもありません。
ただ、幼いころからリトミックに親しみ、音楽が好きになり、いつの間にか、息をするように、日本語を話すように、歌を歌ったり、ピアノを弾いたり、作曲をしたりすることができるようになったのです。彼らの興味と意欲と教育が、うまくマッチしたといえるでしょう。
子どもたちは、みんな才能を持って生まれてきます。その潜在的な能力を引き出し、伸ばしていくのがリトミック教育の考え方です。
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